- 暑さで体調を崩したり熱中症にならないか心配
- 暑い工場での仕事を乗り切るための対策が知りたい
- 快適な職場への転職方法ってあるの?
「暑すぎて耐えられない・・・やめたい・・・」
夏の工場勤務では、誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
結論として、「転職の前に、現在の職場でできる暑さ対策を最大限にしよう!」
「工場は暑いのが当たり前」と割り切ってしまうのは賢明ではありません。
過酷な環境下での作業は、熱中症のリスクと作業効率の低下をもたらし、体の健康に深刻な影響を与える可能性があります。
暑さで熱中症になる前に、体験者の私からリアルな解決策をご紹介します!
そこで本記事では、工場の暑さの原因と対策に加え、より快適な職場環境を求める際の転職の選択肢についても解説しています。
工場の暑さが引き起こすリスク
工場の暑さによって引き起こされるリスクは主に3つあります。
- 熱中症や脱水症状
- 集中力の低下と作業ミスの増加
- 生産性の低下と労働災害の危険性
熱中症や脱水症状
暑い環境での作業は、熱中症や脱水症状のリスクを高めます。
熱中症は、体温調節機能が追いつかず体温が異常に高くなる状態を指し、めまい、頭痛、吐き気などの症状を引き起こすことがあります。
脱水状態になると、体の水分が不足し、有酸素運動能や認知機能の低下が見られることがあります。
集中力の低下と作業ミスの増加
高温環境下での作業は、集中力の低下を引き起こす可能性があります。
これは、脳への十分な酸素や栄養素の供給が妨げられるために起こります。
集中力が低下すると、作業中のミスが増え、それにより生産性が低下するだけでなく、事故や怪我のリスクが高まる可能性があります。
生産性の低下と労働災害の危険性
暑い環境は、労働者の生産性にも悪影響を及ぼします。
身体が過度に暑さにさらされると、疲労感が増し、作業効率が落ちることが知られています。
快適に作業ができる室内温度は26℃
- 空気調和・衛生工学会の調査によると、平均室内温度が25℃から26℃に上がると作業効率が1.9%程度低下し、25℃から28℃に上がると6%程度低下すると報告されています。従業員が快適に作業できる室温は26℃とされているため、従業員の意見を聞きながら室温を調整するとよいでしょう。(室内作業の場合)
工場の暑さは労働者の健康と安全、さらには企業経営にも悪影響を及ぼす危険性があり、適切な暑さ対策が欠かせません。
工場の暑さ対策 |従業員ができること
工場は、外よりも暑く感じる場所です。暑さ対策をしないと、体調を崩したり、集中力が低下したりして、仕事に支障をきたす可能性があります。
- 適切な水分と塩分の補給
- 涼しいインナーの着用
- 暑さ対策グッズの活用
①適切な水分と塩分の補給
汗を多くかくと、体内の水分だけでなく塩分も一緒に失われます。
このため、熱中症や脱水症状の予防には、ただ水分を補給するだけではなく、塩分の補給も非常に重要です。
特に長時間労働や高温環境下での作業では、効率的な水分と塩分の補給が必要となります。
- 喉が渇く前に、こまめに水分補給をする。
- 水やスポーツドリンクなど、電解質を含む飲料を飲む。
- 一度に大量の水分を飲むのではなく、少量ずつこまめに飲む。
水分補給におすすめな飲料水 | 水分補給におすすめしない飲料水 |
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水 スポーツドリンク 麦茶 | コーヒー お茶(カフェイン入り) ジュース アルコール含有飲料 |
- 塩飴、塩分入りタブレット
- 梅干し
- 塩こんぶ
体内バランスを保つことで、健康を守りながら効果的に熱中症から身を守ることができます。
②涼しいインナーの着用
暑い環境での作業には、通気性の良い衣服を選ぶことが効果的です。
作業着は会社から支給されることが多く、自分で通気性の良い作業着に変えるのは難しい場合があります。
しかし、インナーを涼しく感じるものや、通気性が良いもに変えるだけでも、暑さ対策には大きな効果を感じることができます。
自分の快適さを追求する上で、作業環境に合わせたインナーを選ぶことは、効率的な熱中症対策として非常に有効です。
- 吸汗速乾性:汗を素早く吸収し、乾かすことができる
- 通気性:衣服内を風が通りやすくするために、メッシュ仕様がおすすめ
- 接触冷却素材:体に触れた際に冷たく感じる素材
汗を吸収し、素早く乾燥させる素材のものを選ぶことで、体温の上昇を抑え、快適に作業を続けられます。
蒸れにくく、汗の蒸発を助けてくれる服を着ることで、暑さを緩和することができますよ。
③暑さ対策グッズの活用
最近は、暑さ対策のための様々なグッズが販売されています。うまく活用すれば暑さを軽減できます。
グッズを使えば、体を冷やしたり、直接の暑さから守ったりできるので、夏の過酷な暑さを少しでも和らぐことが可能です。
- ミストファン
- ネックアイス
- ファン付き作業服
- 冷却スプレー
- 冷感タオル
ファン付き作業服は、実際に私の工場でも、使われており快適ですよ!
工場がの暑さが改善されない3つの理由
工場の暑さが改善されない主な理由として、以下の3つが考えられます。
- 建物が古い
- 換気と冷却設備の不足
- 作業内容の影響
建物が古い
古い工場は断熱材が施工されていなかったり、窓の数が少ないなど、外気の影響を受けやすく、熱がこもりやすい構造になっています。
そのため、「夏は暑く、冬は寒い」という理由の一つです。
一般の家庭住宅でも、断熱材一つでも20年前のモノと、今のモノでは効果も全く変わってきますよね!
外気の影響を大きく受けることは、室内温度を一定に保つのが難しくなり、冷却設備があってもその効果を十分に実感しにくくなります。
つまり、外からの暑さや寒さが直接室内に影響するため、冷暖房設備を使っても、期待したほどの温度調節が難しくなってしまいますね。
換気と冷却設備の不足
工場内の換気システムが不十分であるか、冷却設備が適切に設置されていない、または古くて効率が悪い場合、暑さが蓄積されやすくなります。
特に、大型の機械を多く使用する工場では、機械から発生する熱も大きく、この熱を効率的に外に排出するための設備が必要です。
また、設備の初期導入時には冷却効果が得られても、工場の設備拡大により敷地内での設備が増加すると、その分、冷却設備も増やしていく必要があります。
よくありがちなケース
設備の増設時に、作業エリアのスペースを考えずに設備を設置してしまうことがあります。
これにより、風が適切に流れず、冷却装置の効果も十分に得られない状態になることが問題として挙げられます。
さらに、実際には設備が増えても、冷却設備の増設が追いつかない場合があります。このような状況では、設備の効率性が低下し、工場全体の温度管理が難しくなることが予想されます。そのため、設備の拡張と同時に、冷却システムの見直しや適切な冷却設備の追加投資が必要になることがあります。
作業内容の影響
工場の暑さ対策を考える上で、作業内容の影響も見逃せません。
高温な機械や材料を使用する作業や、熱を発する材料を扱う作業は、周囲の温度を上昇させ、熱中症のリスクを高めます。さらに、密閉空間での作業や重労働も、暑さを感じやすく、熱中症のリスクを高める要因となります。
例えば溶接作業では、アーク光による熱に加え、火の粉が飛び散るため、周りの温度も急激に上昇します。
また、プレス機械を使う工程では、機械から発生する熱で作業エリアが部分的に高温になることもあります。
- 溶接作業
- 鋳造作業
- 製鉄作業
- ガラス製造作業
- 焼き物製造作業
暑い作業環境からの転職のコツ
過酷な暑さに我慢の限界を感じたら、転職を検討するのも一つの選択肢です。
現在の環境で抜本的な改善が望めないのであれば、より快適な職場に移ることで、健康被害を防ぎ、生産性も上げられるでしょう。
- 温度管理ができている職場を選ぶ
- 工場でも職種を変える
- 現場の環境を事前に確認する
- スキルアップを図る
それでは見ていきましょう。
①温度管理ができている職場を選ぶ
職場選びにおいて、快適な環境は非常に重要な要素の一つです。特に夏場は、冷房の効いた涼しい環境が作業効率や気分、健康状態に大きく影響を与えます。
一般的にオフィスの仕事は、エアコンなどの冷房設備がしっかり整えられているというイメージがあります。しかし、この記事では、特に工場勤務という業種に焦点を当てて紹介していきます。
- 食品工場
- 精密機器工場
- 機械加工工場
食品工場
食品工場においては、製品の安全性と鮮度を維持するために、温度と湿度の管理が非常に重要です。
これは、温度や湿度が適切でない状態が続くと、食品が腐りやすくなり、食中毒の原因となる細菌が繁殖しやすい環境が生まれてしまうからです。
惣菜加工工場 | 惣菜加工工場では、細菌の繁殖を抑え、食品の安全を確保するために、一般的には室温を15℃から20℃程度に保つことが一般的です。 |
精肉工場 | 生鮮食品を取り扱う精肉工場では、品質の劣化を防ぐためにさらに低い、約5℃前後の温度での厳しい温度管理が求められます。 |
精密機器工場
精密機器工場では、わずかな寸法のズレが製品の性能に影響するため、製造環境の温度変化を抑える必要があります。
半導体工場ではクリーンルーム内の温度を徹底管理しています。
また、ホコリを入れないために外気を遮断することになりますので、内部の温度や湿度が上がりすぎないよう適切な空調を行う必要があります。エアコンを用いて状況に応じ温度調節のできるクリーンルームもありますが、室温だけではなく、湿度もしっかりと管理されていることが多いです。
機械加工工場
機械加工工場では、材料を削って製品にしていくわけですが、その際に求められる寸法精度が、ミクロン単位が多いため、機械がある部屋の温度は一定に保たれていないといけません。
金属材料は材質によって異なりますが、温度変化に敏感です。そのため、わずかな温度変化でも膨張や収縮を引き起こすことがあります。このような影響を最小限に抑えるためには、工場内の温度を一定に保つことが重要です。
もし、工場の中の温度が変わると、材料の膨張によって仕上がりの寸法が毎回違って加工されてしまう可能性があります。
例えば、一般的な加工で多いアルミ材質の熱膨張係数
材料の温度が1℃上昇すると寸法が、0.44mm膨張することになります。
同様に、材料が低下すれば、収縮することになります。
これだけは押さえておきたいポイント
- 上記で紹介した業種は、どれも温度管理という点で言えばしっかり管理されています。
たとえば、食品工場の場合、夏は15℃から20℃の涼しい温度が保たれていて快適です。しかし、冬場でも同じ15℃から20℃の温度を保っているということです。
温度管理が徹底されている職場で働く場合は、季節に関わらずその温度設定が快適かどうか、個人の対策が必要になることを覚えておくべきです。
②工場でも職種を変える
同じ工場内の仕事でも、職種を選ぶ際には、自分のスキル、興味、そして働きたい環境を考慮することが重要です。
工場における職種は多岐にわたり、生産技術、品質管理、検査などの職種では、室内での作業が中心となることが多いです。
これらの職種では、製品の設計改善、生産効率の向上、品質の確保といった重要な役割を担っており、作業環境も比較的整備されていることが一般的です。
例えば、生産技術の職員は製造プロセスの効率化やコスト削減のための技術開発に取り組むため、オフィス環境や専用の試験室での作業が主となります。また、品質管理や検査の作業は、書類作成や測定機器などを使っての検査がメインとなってくることが多いです。
工場での現場経験が、検査や品質管理の作業にプラスに働くことがあります。
しかし、工場全体の作業環境としては、依然として高温になりやすいエリアや、物理的な負荷が大きい作業が存在します。
そのため、工場内でも部門や職種によって作業環境に大きな違いがあるため、転職を検討する際には、具体的な作業内容や作業環境について詳細な情報を収集することが大切です。
③現場の環境を事前に確認する
仕事を探すときには、働く場所の環境を事前によく調べておくことが大切です。これは、実際に働き始めた後に「思っていたのと違う」と感じるのを防ぐためです。
働く場所の環境が自分に合っているかどうかは、仕事の満足度に直接関わってきます。たとえば、もし暑さが苦手なのに冷房が効いていない場所で働くことになったら、毎日がとても大変になりますし、静かな環境を好む人が騒がしい場所で働くことになれば、仕事の効率も落ちてしまうでしょう。面接時に職場環境について質問するなどして、自分が快適に働けるかどうかを確認しておきましょう。
面接時に職場の見学を希望しましょう!
- 会社の雰囲気
- 労働環境
- 従業員の態度
会社の雰囲気
会社見学での会社の雰囲気の確認は、日々の業務の進め方や社員同士の関係性、働く環境の快適さを反映し、働く上での満足度やモチベーションに直接影響するため非常に重要です。
ポジティブで開放的な雰囲気の職場では創造性や生産性が促進され、社員間のコミュニケーションも活発になる一方、閉鎖的で圧迫感のある雰囲気はストレスを引き起こす可能性があります。
そのため、会社見学時には、職場の雰囲気に注目して、自分が活躍できるかどうかを見極めることが大切です。
労働環境
労働環境は、働く上での快適さや安全性、生産性に直接影響を与えます。
清潔で整理整頓された職場、適切な安全対策、充実した休憩スペースや福利厚生施設は、従業員が健康で満足感を持って仕事を続けるために不可欠です。また、良好な労働環境は、従業員のモチベーション向上にもつながり、結果として企業の生産性の向上にもなります。
従業員の態度
職場見学では、積極的に挨拶をすることが大切です。これによって、その職場の人々がどのように反応するかを見ることができます。
たとえ職場の雰囲気が一見すると良さそうでも、実際に自分から話しかけてみて、不自然な反応をされたり、冷たい態度を取られたりする場合、その職場の人間関係には問題があるかもしれません。
日常の業務でのコミュニケーションが苦痛であるような人たちが多い職場では、快適に働くことは難しいでしょう。
④スキルアップを図る
スキルアップは、将来のキャリア発展にとても重要であり、自分の能力を高めることで新しい挑戦が可能になり、より良い仕事の機会を増やすことができます。
例えば、パソコンスキルや語学力を向上させることで、仕事の効率が上がり、海外でのチャンスも広がるなど、スキルを身につけることで自分のできることが増え、周囲からの評価も高まります。
そのため、新しいことを少しずつ学び、自分を成長させることが、未来をより良くするためには大切です。
相談できる場所とサポートの利用
今の職場で働くのが限界で辞めたいと考えている人は、一人で悩まず、様々な相談先やサポートを利用することが大切です。
多くの場合、職場の環境問題は個人だけの問題ではなく、同僚や他の従業員も同様の困難に直面している可能性があります。
以下に、相談できる場所とサポートの利用方法を紹介します。
労働基準監督署
労働基準監督署は、労働環境や労働条件に関する相談に応じる公的機関です。
不適切な労働環境や違法な労働条件について匿名で相談することが可能です。
例えば、高温での作業が健康に悪影響を及ぼす場合、適切な休憩や冷却措置の提供が法律で義務付けられています。このような支援を通じて、職場の改善を求めることができます。
また、労働者が不安や疑問を感じる場合、労働基準監督署に相談することで、法律に基づいたアドバイスや支援を受けることができ、場合によっては職場環境の改善につながることもあります。
このように、労働基準監督署は労働者の安全と健康を守るための強力なサポート機関であり、職場での問題や懸念に直面した際には積極的に利用すべきです。
職業安全衛生センター
職業安全衛生センターでは、職場の安全や健康に関する相談を受け付けています。
暑さ対策を含む作業環境の改善提案や、労働者の健康を守るための情報提供を行っています。労働者自身が安全で快適な労働環境を実現するための知識とサポートを提供します。
労働組合や労働相談窓口に相談
所属する労働組合や地域の労働相談窓口は、職場の問題に対処するための貴重な手段になります。
これらの組織は、労働者の権利を守り、職場の改善を目指す活動を支援しています。組合や相談窓口を通じて、職場の問題を解決するための具体的なアドバイスや支援を受けることが可能です。
厚生労働省
厚生労働省は、国民の健康、労働、福祉に関わる政策を担当する日本の中央省庁です。
この機関は、労働環境の改善や労働者の権利保護に関するガイドラインを設定し、実施する責任を持っています。工場勤務の暑さに関する問題に直面している場合、厚生労働省は重要な役割を果たします。具体的には、熱中症予防対策や労働時間の管理に関する法律、ガイドラインの策定を行っています。
例えば、厚生労働省は「熱中症予防対策の推進」に関する指針を発表し、夏季の屋外作業や高温環境下での作業における水分補給の重要性、適切な休憩時間の確保、そして環境監視を通じた予防策の徹底を企業に推奨しています。これらの取り組みにより、厚生労働省は労働者の健康と安全を守るための環境を提供し、良好な労働条件の確保に努めています。
SNSやコミュニティによる相談
SNSやオンラインコミュニティは、職場の問題やキャリアに関する相談をするための有力なプラットフォームです。これらのツールを利用することで、同じ業界や類似の状況にいる他の人々と経験を共有し、アドバイスを受けることが可能になります
しかし、SNSやオンラインコミュニティでの相談には、情報の正確性や信頼性を慎重に判断する必要があります。信頼できる情報源からのアドバイスを優先し、個人情報の保護にも注意を払いましょう。
まとめ
工場勤務は夏はとても暑く、冬はかなり寒いことが多いです。
最近は、自分でできる暑さや寒さから守る方法がたくさん出てきました。
それでも今の仕事がとてもつらいと感じたら、別の仕事を探すことも考えてみましょう。
お水をたくさん飲んだり、ちょっと休憩したりしてみると良いですが、それでも体に負担が大きい時もあります。
若い時は元気でも、少しずつ年を取ると体の疲れやすさも変わってきます。
今のことだけでなく、これから先のことも考えて、自分に合った働き方を見つけていきましょう。